アワヨクバワレサキニ

ふやけた
足を靴から引っこ抜き
倒れる
君の足下で

湖底の景色に
沈んで

夜明け前
不可抗力の青い影は
痒くもない鼻の下を掻く
うらびれた朝に
浸して

むしろはかなくても
かわらないとしても
届かない手を
挟む未来でも
君がその目を
逸らしたとしても

やがて散る花でも
おぞけ立つ群を
憂いてみても
枯れゆく街を
行き交う船と
命尽きても
描き終わる事のない
この絵と…

炙り出す
意表を突く暑い朝に
目を覚ます
自分のかいた汗で
すがった誠実に
背いて

俯瞰で見る
作りものの街を
瞼で押し潰し
うだった息を吐く
壊れた歴史を屠って

立ちつくす弾丸
力なく笑った
澱み切った沼に
咲く花のように

「放さないでよ」
幼い声と
冷たい雨と
重ならない影と
決めた別れと
透けた下着を

気にする君の
その他人の目と
笑わない未来と
その喉笛を
かき切る爪と
二度と触れない胸と

じゃあお元気で!

アワヨクバと
ワレサキニばかりが
無駄に息をする
口の開いた親が
口の開いた子を産み捨てる
赤茶けた
愛情の類い

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