【山作戰60】とはなにか (三)あがた森魚さんと作務衣のきっかけ カバー曲は置き手紙を読んで翻弄されるが如し 上

【山作戰60】とはなにか(一)
【山作戰60】とはなにか (二)引退しせる童子 生ける山作を走らすの続きです

前回の山作戰60の相談をしているとき 「あがた森魚の『ぼくは天使ぢゃないよ』をやれるならサブタイトルは『ぼくは天使ぢゃないよ』でいこう」と提案をもらいました
カバー曲は演奏する俺に実感がわかないことには寒々しくなってしまうだけなので 一度保留にさせてもらい音源を聴く

俺があがた森魚さんを認識したのはおそらく2009年 「深夜食堂」というドラマ オープニング曲として流れていたのを聴いた(と思った)ときでした
名前も知らない もの悲しい曲 それがドラマの内容とあまりに合っていてしばらく誰がうたってるのかを意識することもなくドラマの景色の一部として味わってしまうくらいのそれだった

深夜にだけ開店する飯屋 そこを訪れる少し悲しみを帯びたひとびとに そのひとの心が欲しがっている料理を作ってくれる顔に傷を持つ料理人のお話 彼は紺色のピタッとした作務衣のような服を着ていました
いまの時代を生きるお人好したちの気持ちの拠り所のような懐かしく頼もしい昭和の飛び地のような場所と存在にあこがれて 普段自分の着る衣装を作務衣にしようと思ったきっかけのドラマだった 交通事故で頬に傷もあったし

そのドラマの前だかあとだかにも何かのCMで見かけたくらいの認識だった「あがた森魚」という字面が俺への意地悪な置き手紙になっていくまで 丸8年の年月ともう少しの用意のためのさかのぼりを必要とするのでした
(「深夜食堂」のテーマ曲は鈴木常吉さんですが あがたさんが出演されており この大きな誤認が俺を導くことになったのです アジトさんありがとうございます)

 

一方 突然ですが はっぴいえんど
しばらく嫌いというか 苦手というか 触れたくないものでした あの「日本語ロックのパイオニア」と言われて音楽通と言われるひとはみんな大リスペクトしているあの 細野晴臣 松本隆 大滝詠一 鈴木茂(敬称略)のはっぴいえんどです

はっぴぃえんどを敬遠した最初の理由は 昔々 音楽をやってる先輩と渋谷の飲み屋で呑んでいたとき 俺が「日本のロックの歌詞はミスチル以前と以後でうたのメロディーのリズムが変わったと思う それは桑田佳祐には不可能だった語尾のアタックで時間を蹴って進むような英語的なリズム」という話をしたところ「それははっぴいえんどがやってたことだ はっぴいえんどが偉い」みたいに言われまして「伸ばした音の最後に一文字置くことで英語と似たリズムが出せるんです」と言っても「ミスチル崇拝者か!?」みたいに言われてウンザリしたことから

さらにある時期 猫も杓子もと行った感じで 「風をあつめて」をカバーして通ぶってる(と当時のスネた俺には思える)ひとを見かけるようになってさらにゲンナリするという いま考えるとなぜそんなにも律儀にいちいち言いがかりのようにゲンナリできたのか不思議なきっかけで地道にゲンナリしていました

その頃のおれは代々木にあった立ち飲み屋さん 「おくどさん」に入り浸っていました 立ち飲みとは名ばかりで座れる店が多い中 文字通り立って呑むお店で ある日そこのカウンターで友達と呑んでいたら俺たちに並んで呑んでいた1人のおじさんが俺たちの話を横から聴いて喜んでいる 話しかけたらものすごく話が合いまして その日は記憶をなくすほどに呑んであとで携帯電話の写真を見たら そのおじさんと一緒に 地面に寝転がったり植え込みに入ったりして撮った覚えのない写真がたくさん残されていました つづく
【山作戰60】とはなにか (四)あがた森魚さんと作務衣のきっかけ カバー曲は置き手紙を読んで翻弄されるが如し 中 につづく

その前の「【山作戰60】とはなにか」
【山作戰60】とはなにか(一)
【山作戰60】とはなにか (二)引退しせる童子 生ける山作を走らす

関連記事一覧

PAGE TOP