【山作戰60】とはなにか (六)あがた森魚さんと作務衣のきっかけ カバー曲は置き手紙を読んで翻弄されるが如し 下(最終回)

【山作戰60】とはなにか(一)
【山作戰60】とはなにか (二)引退しせる童子 生ける山作を走らす
【山作戰60】とはなにか (三)あがた森魚さんと作務衣のきっかけ カバー曲は置き手紙を読んで翻弄されるが如し 上
【山作戰60】とはなにか (四)あがた森魚さんと作務衣のきっかけ カバー曲は置き手紙を読んで翻弄されるが如し 中
【山作戰60】とはなにか (五)あがた森魚さんと作務衣のきっかけ カバー曲は置き手紙を読んで翻弄されるが如し 中2
のつづき
「上 中 下」で終わるはずでしたが延長「中 中2」とした「【山作戰60】とはなにか」最終回でございます

カバーをすることになった「僕は天使ぢゃないよ」という曲
あがた森魚さんの弾き語り動画も参考のために観まして それはそれで凄かったんですがバンド版の「僕は天使ぢゃないよ」がまたよかった
バンド版は彼の音楽性とは違うところから出てきてる気がする うねりやテンポ ソワソワやハラハラがこぼれ出していて 仮に歌唱に 「うたう」 と 「語る」 の成分を調整するつまみがあるとしたら その最も伝わるあたりが狙えてる感じ 配分のチューニングがあっていると思いました
俺はそのバンドバージョンに近いノリでやりたかったんです

しかしそれには必要な材料が 自分の中にないか 使える状態で用意されてない って気もしたんです それは誤解を恐れず言うならば 上手さも下手くそさも手持ちが足りない感じ 自分のどこかにあったはずなんだけどなあ
久しぶりにまたゲンナリしながら困った

「ぼくは天使ぢゃないよ」は同名映画のエンディング曲なんですが やれやれと行き詰まってこの映画のエンドタイトルを見ていると 音楽担当として松本隆さん そしておれたちがあの広島だか山口だかの下道で迷ったときうちの社長が認めた大瀧詠一さんの名前が流れてくるし(なぜか大瀧さんは役者さんとしても出てるしこの映画の頃の大瀧詠一さんはちょっと俺と顔が似てる気がする)
さらに泉谷しげるさんはさておき 横尾忠則さんとか岡本喜八さんとかとか もうエンドロールでしばらくお酒が呑めるレベルのすごいメンバーで

あ そんなことはいまはいいんですよ!

そんな中に「ティン・パゥン・アレイ」とか「蜂蜜ぱい」などの名前が連なっていて 行き詰まりついでに気になって調べて ぐぬぬ となりました
「ティン・パゥン・アレイ」はなんでこんな変な表記になってるのかわかりませんが はっぴいえんどの細野晴臣さんと鈴木茂さんがいたバンド「ティン・パン・アレー」だし 「蜂蜜ぱい」にはのちにムーンライダーズを結成するメンバーがほとんど在籍したバンドで あがた森魚さんのバックバンドをやっていたらしい 「ムーンライダーズ」だと?
俺の高校生の部分まで鈍く光ってうずきだすじゃないか

「ぼくは天使ぢゃないよ」の中にある成分が一気に俺の腑に落ち始めていました

さとるさんが連れてきたYMOまわりのお歳を召したひとたちの青春も
そのままの道を同じ温度と乙女と温度を内包して進んだであろう現代と過去のあがた森魚さんも
同じ時代青春を生き そこを過ぎたあたりで止まったままの姿の森田童子さんも
演劇少年だった俺の青春に突き刺さったムーンライダーズ
たくさんCDを下さったWESTVOXであった彼と 広島だか山口だかのバイパスができてからはその影で陽当りが悪くなったであろう農村の景色も
もらい事故のように今件にはあんまり関係なかった鈴木常吉さんへのごめんなさいはさておき
はっぴぃえんども含めて すべてを本当は俺は 大好きだったんだな

しずかにうねりをあげて必然になっていく

そう言えば「ぼくなまはげ」をやっていたころに一度 カバーをやらないかと打診してもらったけれど お断りした
そのことで俺の身体の中に知らぬ間に抗体のようなものができていたのかも知れない 今年カバー企画をもう一度すすめてもらったとき ふと受け入れてしまった
城壁都市のような俺の中へ 受け入れてしまったそれは トロイの木馬みたいに 中にいろんな兵隊を隠していて 出てきた兵隊の顔を見てみると実はみんな一度人生に出てきたひとで「よう!」ってなもんで…
「俺 死ぬの?」 って心配になるくらいの走馬灯と どれが欠けてもこうはならなかったであろう納得や熱

今回の【山作戰60】では大瀧詠一さんの「風立ちぬ」をあがたさんが再構築したものもやりました
大瀧詠一さんとあがた森魚さん
この親しいであろう長い付き合いの二人と 友人の曲の構成を入れ変えてしまう所業 そしてその作者であり友人はそれを認めたあと 先に死んでしまう
どんなもんだったろうなあ と思いながらも 俺はあがたさんのバージョンよりちょっと大瀧感があるようにやりたかった
あがたさんのような外し方は俺にはできないこともありますし 大瀧さんは恐れ多くも宅録家の先輩と思ってましてね

なぜ俺はカバーをやりはじめ どうしてこんな感じなのか
置き手紙を受け取ったかのように身悶えつつ これからも俺はしばらくカバーと格闘し受け取るんでしょう
言い訳かも知れないし 取説かも知れない 【山作戰60】を10倍楽しく見る方法かもしれない
この長い文章に 最後までおつきあいいただきありがとう

さとるさんと出あった日の写真

さとるさんと出あった日の写真

ただただゲンナリなんて しませんよ もう

(おわり)

つぎの【山作戰60】は【山作戰60】 第7回目 Very X’max 12月12日(火) からお誘い合わせの上どうぞ

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【山作戰60】とはなにか(一)
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