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つけまつり

公開日: : ぼくはげ

この秋
熊本へライブをしに帰ったのですが
タイミングを合わせることができて
20年以上ぶりに『藤崎八旛宮秋季例大祭
(通称『ボシタまつり』)』を見ることができました
このまつりはおれがちいさい頃
家族と観に行っていたもの
熊本の城下町風情が残るあたりから
繁華街を抜けて大きな神社まで
いくつもの団体が馬に飾り付けをして
踊りながら練り歩きます
(途中 馬も人間も走ったりする)

あいにくの雨
おれと社長は夕随兵という
まつりの午後の部みたいな感じのものを
見に行きました
お祭りの終着点でもある
藤崎宮の近くにクルマを止めて
まつりの行程をさかのぼる感じで歩く

なんにも調べずに行った割に
『下通り』というアーケード街を
横切るように進む祭りの先頭を見つけられた
まつりに参加するひとの年齢層が若い気がするけど
多分自分が歳をとっただけだ…
先頭から行列とすれ違いながら進む
馬がいて太鼓や金物が鳴って
懐かしさがこみ上げるものの
やっぱりまつりは変化している
ある一団の若い子たちの
祭りの衣装の着かたやノリは
ヒップホップ系のひとたちや
黒人音楽の影響を思わせた

おれが一番違和感を覚えたのは
「てーをあげろーてをあげろー」
っていう掛け声が浸透している点だった…
標準語だ…

帰郷したおれには「なし」でした
土着感のない掛け声
グッとこない…
その『輪になって踊ろう』
みたいな安易に思える盛り上げの言葉に
よさこい祭りの一部に感じる
おぞけに通じるものがありました
「熊本のまつりを見てやろう!と思って
来てくれた他の地域のひとが
こぎゃん東京のごたっとば
見たかだろうか?!」と
社長に向かってすこし愚痴ってた

わかる
北の国からってドラマで
富良野で電気を使って暮らしてるのを見た観光客が
がっかりするのを怒るシーンと似てる
そこで暮らして まつりを守ってきたひとが
ふだん標準語に近い物言いをしてるのに
他所から来たひとのために
無理して熊本弁を使うのはおかしい
でも…でも…

東京に二十年住んで
いま熊本ではない田舎に住む身として
多くの田舎をつまらなくするのは
東京コンプレックスと
なにをやっているのか書き表しやすいだけの
情念がない計画だと確信しているんです
それを書き表せませんけど

ぼした

おまつりの行列をさかのぼり
大通りの脇の
昔ながらのお店が並ぶあたりでおれは
すこしさびしい気持ちになっていました

休憩をしていたまつりの一団とすれ違う
白髪混じりの男性が
掛け声をかけるひとの立つ車の上でマイクを持つ
取り囲む一段がすこしいろめきたったように見えた
車の上の彼が
カリッと枯れたドスの利いた声で発したのは

ああ…
おれが20年以上前に
来年はおれは東京に行くんだと思いながら聞いた
あの雰囲気のままの口上…

みるみるゆがむ視界
自分になにが起きたのかわからない
殴られたような衝撃なんていうけれど
これがそうか…
おれの目からは堰を切ったように
涙が流れていました
ただただ泣くおれを見て
にっこり微笑んでくれる白髪のおばあさん
ああ… あなたはもしやあのときの…
知らない人でした

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