愛する重たいCP-60Bのこと

9月分の『【山作戰60】 第4回 秋の風』が終わりました
(パソコンで音が出せる環境の方は上のリンクを別窓で開いて鳴らしながら読んでいただくとなおよろしいかと)
山作戰60はFRESH!を使ったインターネットライブです

このライブ ひとの曲をやるのですがそもそもおれは他人の曲をコピーもしくはカバーしたことが極端に少なくレパートリーはゼロ
一度も弾いたこともうたったこともない曲を期日までにどこまで追い込めるかの勝負
今後もご期待ください

この中で何曲かピアノを弾くんですが このピアノの話をすこし

音楽室に置いてあるYamaha CP-70B 本当に弦が張られていてハンマーで叩く生のピアノと同じ構造で それをピックアップで拾う70年台の変なエレピ「エレクトリック・グランド」と言われるもの

山作戰の音源には当然登場します
山作業』のピアノは全部そう あかねさすも 天草栖朗の「ディナーショウ」や「いなもと」なんかもそうのはず

最近ではギターレスロックバンドのKeaneの音はいかにもこれって感じだし 小林武史氏がライブで弾いてるやつは同じしくみでこれより鍵盤の多いCP-80のはず
旧くはオフコースでもこれぽい音が入ってるしKANさんや岡村孝子も弾いてた
あるひとにこのピアノの話をしたら「大橋順子でしょ?」って言われたけど知らなくて検索したらJUNKOって書いてあるこいつを携えてツアーも回ってて 世良公則さんがJを取って大騒ぎになったくらい有名だったそうです

東京にいたころオークションで落としてレンタカーで千葉のショッピングセンターの駐車場に社長ととりに行きまして 出品者さんはこのピアノを折りたたんだもの(一応フタをして巨大な箱2つにトランスフォームできるのです)をクルマのトランクに無理やり積んでご夫婦と娘さんと息子さんのご家族でいらっしゃいました

このピアノの出自などを少しお話しをしたんですが 奥様は「主人の兄が弾いてたものなんです」っておっしゃいましてハッキリおっしゃらないんですが 『主人の兄亡くなってる感』がビシビシ伝わってくる感じで それをはっきり言うとおれが嫌なんじゃないかと気遣ってくれてる感じまでもうガッツリ
お子たちがおじちゃんの話をしようとするとお母さんソワソワする たいへんなごやかな受け渡し 大柄で素敵な奥様と一緒にご主人がトランク積み込みまでやってくださいました
あとでわかったんですが ご主人の兄さんが音の小さい生ピアノとして家で大切に弾いてらしたおかげで電気部分がほぼ未使用で 経年劣化でノイズは多少のったりしますがものすごく状態のいい遺品でした(言っちゃった!)

オークションの設定金額もまったく相場を無視したものだったし 早く処分したい感が強く出ていた気がしたので 遺留捜査の糸村ならもう3分どころじゃなく時間が欲しいところです

このピアノ ハンマー部分と弦部分に別れてそれぞれフタをして箱のようになる仕組みではあるんですが総重量105キロ! つまり半々だったとしても半分が50キロなんです
積み込みまでやっていただいたのでその実力を知らなかった… その当時はボロボロのマンションの2階に住んでいまして社長と2人でこれを部屋まで運びましたが 社長をご存知の方はわかると思いますがとんでもなく小さい
お互いなんどかかなりリアルに『死』を意識して御柱祭りみたいに滑り落ちて行きそうになりながら 一段ずつ一歩ずつ…
レンタカーの返却時間もあるのでやめたりひとに頼んだりすることもできず 途中社長は泣き出しまして昔話に出て来る 泣きながら川をせき止める力持ちみたいにオイオイ声を上げながら運び上げた 血の涙を流してたかも知れないくらい
翌日 おれは身体のあちこちが中で裂けてる気がする痛みに襲われ 社長は熱を出して寝込みました
そうやってうちへ来たCP-70B 当時は居間の真横に音楽をする部屋が戸を外した状態で繋がってあってそこにドーンと置きました
スイッチも入れずケーブルもつながずに音が鳴るなんて素敵…
いまでもそんなに弾けませんが このピアノがうちへ来るまでおれは本当に弾けなくてね
インスピレーションから音出すまで0秒!!みたいにワクワクして弾きまくりまして曲もこれで作るようになって 少しだけ上手になった(と思う)そんな大切な存在なのです

今回の『ヤマサク春のセンまつり』ほんとは こいつをステージにあげてやりたかったんです ステージにCPがあったらあの音だったら素敵だろうなと
しかしこいつの電気部分が安定動作するかわからないし 運搬も大変だし(東京▶静岡はアリさんマークの若者がウホウホ言いながら筋トレになると言いつつ運んでくれました)
点検 メンテなどできる予算も厳しいかなーーーと 今回はセンまつりの会議にも出してません

死ぬまでにはいつか一緒にステージへ

というちょっとごまかしにも似た呪文を唱えるおれを 優しく重たく 見守ってるライブ用の小さなピアノのお話しでした

関連記事一覧

PAGE TOP