本人による作品集『山作用』 全曲解説 録 『ふんふんふん』

今回は テンポよく走り抜けるイメージの曲『ふんふんふん』のはなし

熊本の大切なドンドコドンドコドンドコドンのリズムに願いを…

この曲の頭から鳴っている太鼓のドンドコドンドコドンドコドン 摺鉦(すりがね)のチンチキチンチキチンチキチン!というリズムは 先日行われた熊本の大切なお祭りのひとつ『藤崎宮例大祭(通称ボシタ祭り)』のリズムが元になっています
(震災の爪痕残る中 今年の開催が危ぶまれましたが 復興を願って開催されたようです)
お祭りで鳴る鳴り物のテンポよりかなり速いので 熊本のひとも気づかないかも知れません

藤崎八旛宮秋季例大祭(ふじさきはちまんぐう しゅうき れいたいさい)に参加する山作戰の母校熊本北高校の北辰会

藤崎八旛宮秋季例大祭に参加する山作戰の母校熊本北高校の北辰会

打楽器がなり始めてメインのイントロがはじまるところの掛け声は
「さんのーがーはい」
と言っています
これは九州山口地方の「いっせーのーせ」みたいなもので 山作戰のライブではよく出てくるんですが ここで問題になるのが 「いっせーのーせ」は最後の「せ」と同時にコトがはじまるのに「さんのーがーはい」は「はい」の次のタイミングでコトが始まる点です

いっ せー のー せ

さん のー がー はい
コトが始まるタイミングが↓矢印の位置なので 九州山口地方のひとたちと一緒に重いものを持ったり投げたりする際にはその前にすり合わせをされることをおすすめします(笑)

さておきこういうオマージュ的な引用的なやつ いままでやったことなかったので 勝手に独りで照れたりちょっとうれしがったりしていました


こちらがくだんのお祭りの様子 しかもたくさんの団体が出るんですが 俺の母校の動画を見つけてきました
このお祭りは真田丸にも出てくる加藤清正にちなむお祭りです
真田丸では一本気なヤンキーみたいな描き方をされていましたが『隈本』と呼ばれていた国を『熊本』に変えた武将で 熊本城を築城したことでも有名な ファンキーじゃない加藤です

曲作りに対してこれまで こだわったらキリがなくいちいち面倒な俺でしたが 地震がきっかけになって思い切れた気がしています(吹っ切れても人並みには多分まだ遠い)
このリズムアレンジも 自分の地元が被災地にならなければやれなかったかもしれません

足りない色気はロータリーで解決するか?

さてそんな『ふんふんふん』
エレキギターは自分で弾きましたが やっぱり坪光君や肉村さん 種様が弾いたような色気が出ない
まぁ ジャガジャーン ってやるだけなので そんなに色気は出なくてもいい気もするですが すこーしもの足りない気がしまして
かといってコードを弾き伸ばすだけだからひとに頼むには忍びないし締め切りまでにやり取りを増やすのは間に合わない危険性も上がってしまう…

と いろいろ悩んだり試したりした挙句 自分で弾いた音に僕の好きなロータリースピーカー(オルガンの音のゆらぎを出すのに使ったりするスピーカーそのものがくるくる回る仕組み)を模したソフトですこしクルクル感を出して満足しました(解決になってない気もするけど気に入っている)

ジャガジャーンと鳴らすのならテレキャスターでしょう

ジャガジャーンと鳴らすのならテレキャスターでしょう

ベースうねらないと山作戰じゃないでしょう!と勝手に盛り上がる

この曲のベースもまた 打ち込みです
生々しく それでいて不自然にぐねぐねと動く感じと シンプルに刻む部分のメリハリで曲の場面の違いを演出したつもり
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もう自分のどこかでどうやら
「ベースうねらないと山作戰じゃないでしょう!へいへーい」
みたいに思ってるところがあり それは打ち込みでもかわりません
むしろ打ち込みならいつもより多めにうねらせております ってなもんです

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不可抗力でたなびいたサビの余韻がないと寂しい存在に…

この曲 それぞれのサビの最後のうたの響きがよく聴くとサビが終わってイントロののフレーズに戻ったあともずーーーっと響いているんです
「今日はこの辺で 今日はこのへんでーーー(でーーーーーーーーーーー)」みたいな感じ

これは作業の最初に声に響きをつけたとき 間違って曲が終わっても響いてるくらい長ーーーい設定になっていたのに気づいて
「いつまで鳴っとんねん!」
と言いながら設定を修正して程よく止まるようにしたことがありました
ところが正しい設定にところ なんだか味気なくなってしまって寂しくなった
もう一味 なにか音を足さなければいけない気もしたんですが
「だったらそのまま鳴っててもらいましょう」
とひとりでやりとりして考えなおし 響きも楽器的なあつかいで残しました
全部のサビのあとでしばらく声の響き成分がたなびいて鳴り続けるようになっています

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歌詞はここ最近のテーマのひとつ『無自覚に大人になっていた自分と同世代のみんなへの思い』

この曲は歌詞が一番の分くらいできていて 楽器の録音作業をしながら残りの歌詞を書きました
大人の言いたいこと言えなさや ノスタルジックな景色 こだわりやこだわっていられない環境みたいなものは いま住んでいる静岡蒲原にも 故郷である熊本にもある
ってことは きっと全国の田舎にあるんだろうな なんて思いながら それらをないまぜにした哀愁と それを乗り越えられるかは不明だけど 奮闘してる仲間の集いみたいなものが書けたらなぁと…
このあたりは次の『人間だもんで』と切り口や描くタッチは違うものの 近いテーマなのかも知れません

ミュージックビデオ撮影にスーツ姿指定で集まってくれた蒲原の仲間たち

ミュージックビデオ撮影にスーツ姿指定で集まってくれた蒲原の仲間たち

『くねる路地』なんて景色は 都市計画 区画整理対象外な微妙な勢いの地域だったり 都市部に近いところなら 地価が微妙だったり混みあいすぎたりして開発され残った下町だったりするのかな?
聴いてくれたみなさんがそれぞれに描く 「ふんふんふん」の景色に かなり興味があります

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最後の最後 うたが終わったあと後奏に重なっている掛け声は 「いやさかさっさ いやさ」って繰り返して「っさ っさ っさ っさ」と言っています
『イヤサカ』というのは調べると『弥栄』と書いて「ますます栄える」みたいな意味だそうで 記憶が確かでは無いんですが幼いころ見た『通称ボシタ祭り』の中の どこかのチームがかっこ良くかけていた掛け声があんなかんじだったという記憶を元に入れました
が なにせ虚言癖のある妄想だらけの子でしたから もしかするとそんなチームはなかったのかも知れません…(笑)

妄想だったとしても 熊本はこれから栄えてもらわないと困るので 取り入れさせていただきました
そのおかげで曲の終わりに向かって勢いがつくようになって ライブでもここがキマるとドラム打楽器の上羽君とニンマリします

「この曲は入れなければいけない」と社長は言った…
祈り通じぬ時代に生きる僕ら
『人間だもんで』のこと

 

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山作戰による作品集『山作用』解説 目次
序 (山作戰の録音 予備知識の回)
一曲目 煩悩スルメ
二曲目 あいたかやま 前編
二曲目 あいたかやま 後編
三曲目 さようなら 前編
三曲目 さようなら 後編
四曲目 御休日和 前編
五曲目 御休日和 後編
六曲目 ふんふんふん
七曲目 人間だもんで
八曲目 黎明
九曲目 カマンベール
十曲目 蝉時雨
十一曲目 掻き消された声
十二曲目 ようこそのうた

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