絶望の砂に咲くのか花は ~絶望の砂に咲く花 新録音のこと~

絶望の砂に咲く花がナツゲキのテーマになるかも知れない
そう聞いたとき 俺は「録音しなおそう!」と思った

その頃俺は新しいアルバムを東京のメンバーでの録音のためのリハーサルが始まってすぐ
しかしその中にはこの「絶望の砂に咲く花」は含まれていなかった
俺はこの曲を急いで録りたいとメンバーに相談し 次のリハーサルの日を急遽録音の日にしてもらった

正直言うと俺は自分の曲をすべてバンドで 生で録音した経験がなかった
最近でも鼻歌をスマホに録ってずっと独りでパソコン上で楽器の音を重ねて作り 世に出す
いわば鎖国ミュージシャンだった
孤独上等 俺の頭で鳴ってる音が俺の音楽のすべてだった
なのでドラムベースからすべてちゃんと録るバンドの録音は初
そう 大切な初体験だった 身持ちの固いおっさんなの
当日昼過ぎ メンバーが世田谷に集まった
ドラムオータコージ君とベースケイタイモ君のリズム隊をせーので録音し エンディーのエレキギターを重ね 弥史矢君のヴァイオリン そしてイントロや間奏 アウトロの雄叫びを録る みんなで換気に気を使いつつバンドの空気を共有する中で 曲が目指す場所がどんどんクリアになっていく気がした 俺の脳内で生まれたはずの曲が みんなとどこかへ進み始めている
そうか これが開国か!夜明けぜよ!

聞き慣れうたい慣れた自分の曲のはずなのに 違う顔を見せていく
しなやかで とぎすまされて 熱くって…
スタジオにいたみんなと遊びに来てくれたシンガーの森田くみこさんも参加で
「うぉおおぅおおおー」という声も録った 楽しかったなあ
いまみんなで作ってるなあと思った

あとはうたうだけじゃないか
メインボーカルを録ったのは夜半すぎだったろうか
これまでは鶴の恩返しみたいに独りで部屋に籠もってちまちま録るのが一番 自分に合っていると思いこんでいた
しかし一日かけてスタジオ内に共有してきた空気は折り重なって おのずとどううたうべきかを指し示していた
うたう 迷いがない
それはうたい慣れているからじゃない 今回キーも変えてるしテンポも変わって 新しい曲と言ってもいい

3回通してうたい 2番目のテイクを中心にまとめることになってうたの録音は終わった

俺は運転ができないので社長が運転して帰る
その日は足柄のサービスエリアでご飯を食べる予定だった
が 社長を容赦ない睡魔が襲う 行楽帰りに親に抱かれて汗びっしょりで寝る子のように わかりやすく襲われている
ここで食べたら絶対に眠ってしまう むしろ食べながら寝るかも
ということで急遽素通り
文字通り眠い目をこすりながらの帰路
やばい…翌日は午前中から用がある

しかしここで社長の眠気を打破しうるものの存在が明らかになる 社眠打破!

ラフミックスだった
今日録った音をミックス前の段階で聴けるように美濃君がまとめて共有してくれていたのだ
このファイルをスマホにダウンロードしてクルマのスピーカーから流す
すると社長が高揚感の中で何度となく蘇るのだ
最低限の調整しかしてないそのファイルを帰りながら何十回と聴きうたい 手応えを叫びながら東名をひた走ったのだった

正直その時点ですでに 少し泣いてしまうくらい素敵で 知らないうちにうたいたくなってしまいうれしくて イヤホンをして聴きながら寝たらライブでおしっこを漏らす夢を見た

後日yuzuru kusugo君がピアノを重ねて「あの日の空気を踏まえて勢いよく!」みたいな要望をし バッチリ
全部の音が出揃う
そしてミックス マスタリング いい 実にいい!さらに魔法 追いガツオ 追い魔法だよ
数え切れないくらい 当たり前に魔法に遭遇し続けた 開国すげえな

そうやってみなさんに聴いてもらえる音源になったのだった


静岡で行われる「マチゲキ!」のテーマソングに採用されたそうだ
テレビやラジオでもいままでよりずっとたくさん流れるかも知れないと言われている
そこでこの音源の素敵さに気づく誰かのアンテナに触れればいいな 届けばいいなと思う
すでにであっているひとはもちろんたっぷり楽しんで欲しいけど まだあってない沢山のひとの中にこの曲で俺と同じように叫びたくなるひと いると思うんだよな
テレビやラジオはもはや音楽好きのものではなくなりつつあるとも言われるけれど 俺は俺のこのうたが必要なひとがまだまだそのスピーカーの先にいるような気がするんだ
この曲は平成の終わり頃に作った曲だった そしてその数年後 絶望をあたりまえに共有する時代が来てしまった
日々大変だからこそ その日々を生きる俺たちの復活の旗印として 俺やあなたが見る悔しさの日常が 少し力を帯びたりするような そんな音楽になればいいなと願いつつ この曲をあなたに向けて放つ この音があなたに届くことを もう少しだけ信じてみようと思う

「絶望の砂に咲く花」
髙山堂ショップより2021.08.06先行予約開始!
1枚500円(込)

作詞/作曲:山作戰 Vocal/A.Guitar:山作戰
E.Guitar:Endy
Bass:KEITAIMO
Piano:Yuzuru Kusugo
Drums:koji ota
violin:Mishiya Nojiri
guest chorus:Kumiko Morita
Recorded,Mixed and Mastered Takaaki Mino
Recorded at Studio Mino Studio
Designed by Hajime Kobayashi(FxBxD)
Photo&Teaser:Satoru Kumazawa(Vision Tracks/L2G PRODUCTS)
A&R:qko(髙山堂)

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