ヤマサクマイニチ 7 2019年12月26日(木)あなたが話しかけてるそのひとは聴きたいひとかも知れないのだ

俺 単身でも山作戰バンドの仲間と一緒でも お酒を飲むイベントの演奏の依頼は少なくない
その際にまあ酔っている方が聴いてくれないことは多い
お酒を呑むイベントでは話したくて来てるひとも多いし 黙れ 聴け というのも絶対違うんだろうし 演奏中 しかも静かな場面やサビのタイミングで名刺交換が始まったりするのにも もう慣れた

以前レディオヘッドのトムヨークがどこかの施設のイベントらしきステージでうたって だーれも聴いてなくてわいわい騒いでるという動画を見かけた
全世界で何千万人に支持されてるひとですらこうなるのか
まあ 理解できないひとたちにとっては独特な目つきの不思議な髪型のおっさんなんだろう じゃあ仕方ない

ってなるかーっ!
きっとトムだって悲しかったと思う

ただそんなあきらめの中 ひとつ気になってることがある
聴こうとしてるひと 聴きたそうにしてるひとに 誰かが話しかけてしまい 聴こうとしてくれるひと 聴きたいと思ってくれるひとが 一瞬にして消えてしまうことがまあまああるのだ
長年ステージ側から見てるとそれがわかるし わかると同時にその瞬間が まあ鋭くも小さな絶望として一つ一つ刺さる

話しかけるひと
その呪いを媒介する怖い動物は 自分1人で聞かないでいてくれればいいのだけれど ひとを巻き込んでしまう
演奏に負の気持ちが出るのは嫌なので 心を強く持つようにして 無 でいられるように頑張っているけれど にんげんだもの まあまあ大変だ
話しかけた側の方は悪気はまったくないし その自分の迷惑の可能性にも気づいてない

話しかけるひとはそもそもその音楽にも興味がないし 下手すると音楽そのものに興味がない
さらにご自分が興味のないものは当然みんな興味がない と信じているひとだ

…と言い切れたら楽だろう
しかしそうとばかりもいえないのだ

実際 そうやって話しかけて 聴かないひとの連鎖を起こしたひとが CDを全部買ってくれていていつも応援もしてくれているひとだったりすることもまれにだけれどある
さらにはじめてライブを観た「聴きたいひと」が話しかけられて 削がれたまま別の「話しかけるひと」になってしまう例もあった

さらにぶっちゃけると かくいう俺自身も 知らないうちに話しかけるひとになっていた心当たりがあった気がする
もしかすると誰でもその呪いの始まりのひとになる可能性があるのかも知れない

この文章を書き始めるとき「ひとが演奏してるとき自分だけ聴かないのは百歩譲るとして ひとに話しかけんなゴラーッ 1人で黙って聴かないでろっ キーッ!」という思いがきっかけだったことを白状する
しかし書いてるうちに
「あれ?あのときもあのときも 自分 やってたかも知れない ああごめんよ やってたよね」
と反省しはじめ 結果
「はは 俺も気をつけるよ みんな気をつけようね えへへ」
と まったくしまらないものになってしまった

もう どう終わらせていいかわからなくなってしまったけれど 過去の自分のことは棚にあげて言うよ
演奏を聴いてるとき話しかけられると「いま聴いてるからあとで」とはなかなか言いにくいことを覚えておこう
そして あなたが話しかけてるそのひとは 聴きたいひとかも知れないのだ
そう思って生きていこうね

もちろん俺もな

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