ブログ100日山作戰 その82 指先

「才能がないわけじゃないが想像もしないほどのところまで勝手に連れてってもらえるほどは才能ない」ってひとはまあまあいて 多分俺もそう
そのレベルの才能あってあきらめたひと 続けたひとの差は 妄想を語らう場と社会を煙にまく力があるかどうかだったりすると思う そういうものが守る才能もあるのだ

守られなければ残らないものならそれは弱かったのだから淘汰されてもしかたない という考え方もできるだろう でも守られないなりにこっちはこっちで手持ちの才能で最大限あらがってあがいて 必死で守ってきた 曲を作ることが人生そのもの なんて思えていることが 曲のファンになってくれるひととの出あいをくれて それがやめない理由になっていたりもする

先日自分のライブの設営をしているとき音響機材を運んでいて指先を切った
スピーカースタンドにスピーカーをスポッと入れようとしてひっかかって おかしいなとずらしたら指先を一緒に挟んでしまって
絆創膏で止血しても止まらないし 左手の薬指だったのでリハーサルでギターの指板が血だらけになって チェッカーズの「Song for U.S.A.」の歌詞を思い出してちょっと面白くなったりして「あああれは『弾く指先』だから右手か」なんて自分で突っ込んだりして
本番では観てるひとがひくほどの目立った出血はなくてよかったけれど
「まあしかし 崎山蒼志はしない怪我だろうなあ」なんてふと思ったっけ

彼はみるみる「想像もしないほどのところまで勝手に連れてってもらえるほどの才能」を発揮してどこかへ行き 音楽だけをして暮らしていくんだろう
昔おあいして一緒のライブに出たり誘ってもらったりしたものの もはやこれからの俺の人生にはおそらくずっと関係ないひと
ただ 何事も経験 なんていうのはきっとほとんど気休めで 音楽だけやって暮らすに越したことはないことを思い出させてくれるひとではある

「いましあわせですか? 不幸せですか?」 と聴かれたら 迷わず「しあわせです」と言うと思う
だけれどここにずっといて このままのしあわせは続かないのもわかってるし なにより観せたいものが聴かせたいものがまだまだあるから行く
「想像もしないほどのところまで勝手に連れてってもらえる」ことがないのだから 自分で行くんだ

指先の痛さがそう言ってるってことにしてね

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