最近「山作用」に収録した
「あいたかやま」を
弾き語りでうたうようになった
この曲は俺が曲を作るときの景色と
友達の飲食店をやるひとが
商品開発する場に居合わせて
そのとき見た苦労とよろこび
大切なものがあるひとの美しさ
そんなあれこれがきっかけで
作った曲
アイデアを具現化する作業こそが
俺の仕事な訳なんだけど
異業種である
メニューを考えているひとの
材料や調理法
季節や立地
あらゆる情報をインプットして
そのどれが強く作用するのか
混ぜ具合や順番その他
偶然まで見方に付けて作り出す
流儀みたいなものは面白い
本人からすると
嗅ぎ取って 工夫して 苦労して
の3Kで作り上げるみたいな
大変な作業なんだろうけれど
愛おしい時間だなあ
誰かの喜びになるだろうと
想像しながら作り出すことは
げにも素敵なことかなと
うれしく思って見ていた
俺は曲のメロディーや
歌詞を作るとき
作り出してるのか
気配をうかがうのか
記憶をたどるのか
深層心理から湧き出すのか
降ってくるのか
そのそれぞれを行き来してるような
絶妙な感覚のところで揺れながら
作ることが多い
この状態には
いつでもなれる訳ではないけれど
ある程度コントロール
できるようにはなってると思う
タイミングは
朝起きてすぐが圧倒的に多くて
そのアイデアの残り香というか
未来の面影みたいなものの手がかりを
消えないうちに残したくて
メモしようとしてるんだけど
なにかを思ったり配慮したり
音が聴こえたりするとすぐに
すべて消えてしまう
むしろ五感が新品になって
脳と過去だけがそこにあるような
無入力の状態だから
そうなれるのかも知れないなと
思っているのだけれど
あたりまえのようにそれは
共有できる感覚ではないだろうし
なかなかわかってもらえなくて
消えてしまうことの方が多い
そうじゃない作り方も
やろうと思えばできるし
仕上げの作業などは
技術でどうにかなるのだけれど
こうやって
曲が浮かんでくるというより
自分が浮かんでいるような
状態でできる曲や歌詞のほうが
みんなにいいねと
言ってもらえる率が高いので
このやり方がいいんだろう
自分に入力された過去が
長いこと砂の層や岩盤を
通り抜けて出てきた水のように湧く
それなのにずっと同じところで
湧き続けるわけではない
そんなものをつかまえるというか
思い出すというか
予言するというか
そういう作業の孤独な時間
それがうたうことによって
あなたに繋がりますね
受け取ってくれてうれしいです
そんな気持ちで最近
「あいたかやま」
をうたうようになっている
追伸 犬 朝から吠えるな(笑)