敗北論

何かに負けると その何かが
僕に影を落とすから
負けずにいようと 強くあろうと
うまくやりくりを続けてる

お金に負けると お金がないと
無力な気がしてしまうから
買えない物にばかり 執着して
少し偏屈に曇り空を好む

時間に負けると 大切な友に
不義理してしまいがちだから
時間を作るのは 僕の思いだと
さりげなく自分を戒めつつも…

あなたになら 負けていよう
依存と信頼に責められた痛みを噛む

苛立ち煙る 浮足立つ灯りと
突き刺さる誠実と 死にそびれた正しさと

無粋に垂れこめる
このわだかまりは消えるだろう
望んだはずなのに名残惜しくて

自分の輪郭を 痛みで確かめるような
憎まれ口のあなたに
僕もどこか似てるかな

しがらみに負けると その場にしがみつく
自分がすごく嫌になるから
捨てられない物だけを 強く抱きしめて
後を捨て去る覚悟を決めたいんだ

でも

あなたになら 負けてもいい
そう思える自分がやけにうれしくて
やるせなさは自分の罪
老け込んだ僕と 出枯らした言葉

冷たい風が 止むことはないだろう
でもその風も悪くなくて
底冷えする 白々しい街を
独り歩く僕を あなたは責めてくれるかな

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