100日山作戰 その97

山作戰を名乗って21年くらい

ファースト作品集「山作戰」を出して1月で10年経っていた

この作品集を作れなければいまの活動はなかった

発売から何年遡るんだろう 深夜働いていたコンビニでお客さんとよく話す店員だった俺は 系さんというひとと知り合い 自分が音楽家だと伝えたことで 彼も音楽をするひとだと知り さらには同じ 廃墟と見紛うばかりのマンションに住んでいることもわかる(俺は二階の一番道路側 彼は三階の一番奥に住んでいた)

彼とのやり取りの中でどうやって一緒に作品集を作りましょうという話になったのかわからないけれど(カセットか何かを渡したのかも知れない)彼は性能のいいパソコンを用意してくれて それまでテープでやっていた録音がパソコンでできるようになった(俺の持ってたパソコンでは本格的な録音は無理だった)

俺が録音したファイルをハードディスクに入れて彼に渡す その先で彼がミックスする 彼と一緒にスタジオで録ったり 彼の家でその後録ったものもあった この曲のヴァイオリンもそう

アワヨクバワレサキニ

ジャケットをお知り合いのデザイナーさんに頼んでくれて マスタリングをビョークのマスタリングをしたひとに頼んでくれて プレスも手配してくれて その当時の俺が想像もしきれない 判断も到底できないことをみんなやってくれた

のちに音楽一本で食べていこうと考えたとき このCDがなければ決断できなかったと思う そこから一人でこれを作るのはきっと無理だったし 系さんと一緒にやれたから 作業の工程が理解できて 次から自分たちでやれた

10年前の俺はビブラートをかけずにぶっきらぼうで小癪なうたいかたをしていて 曲作りもいま考えるとどうやって作ったのかわからないくらいの他人

その10年前の俺にとっても10年後のいまの自分も まさか1,000人のコンサートをやろうと躍起になっているなんて想像もつかないし 当時なら絶対やらないようなことをたくさんしている 他人に思えるし 嫌われるかも知れない(あの頃の彼は下手すると10年後に46歳になってることすらわかってない可能性がある)

10年前の自分よ 嫌ってくれても 軽蔑してくれてもいい しかしお前の生きた時間を 良き結果への道筋にするのも つまらない結末にするのも いまの俺なのだ
未来は変えられないが 過去を変えられるのは 未来を生きるひとなのだから な

俺はやる

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