山作戰による作品集『山作用』解説 序

聴いてくださった方にもこれから聴いてくださるかたにも そして聴く予定のない方にも!(泣)
8月2日に発売した山作戰の最新作品集『山作用』について1曲づつ語ります

まず ご存知の方は申し訳ない『山作用』ができる前の 山作戰の録音の話をします

まず前提として 通常みなさんが聴いてらっしゃる音源 録音物 テレビやラジオで流れる曲などを制作する場合 音を出すミュージシャンと それを録音をしたり音の調整をしたり(以下ミックス)するひとは別のことが多いんですが それを山作戰は全部ひとりでやってきました
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予算的問題から表現へ

ミックスの件は最初
「専門家を頼むとお金がかかるから」
「作った曲を自分で処理して自分のタイミングで公開したい」
などの理由から自分で始めたんですが 何作も作っていくうちに
「音の置かれ方や響き方も含めて自分の思うようにしたい」
などと思うようになり だんだんひとに頼むのは嫌になっちゃいました(笑)

鎖国した味覚は世界と合わない

たまにひとに頼む機会があっても どこかで自分の思う感じとはかけ離れている気がしてました
これはそのひとが悪いわけではなく
「作業の中での音の漠然としたイメージを伝え合う共通言語を獲得できないまま終わった不幸な事象」
とも言えるでしょうし
「鎖国した状態で作業を続けてきた男の味覚が世界基準に合わないのは当然だった」
みたいなあたりまえの話なのかもしれません
なにせ音の話ですから
「きらびやかすぎるんです 全部じゃなく部分的にくぐもらせて」
とか「響き方がシャーンじゃなくてビヨーンに近い感じ」
とか言っても当然伝わることのほうが少ない訳で…

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自業自得ですがミックスについては誰かについて学んだ訳でもないですし 正解も何百何千とある世界
泣きながら検索したり本を取り寄せたりしつつ ウェブや本で教えたがってくれてるひとが目指す音が自分の好みではなかったりすると
「言ってることはわかるけどさーー」
みたいにもなり打ちのめされながら
「知識もまたテクノロジーであり それは手足のように使えなければ むしろ ないほうがいいのだ!」
などと独りで叫びながら過ごしておりました
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それが最近 知識や技術 ノウハウにやっとすこーし実感がわき 貧血気味ながらすこし血が通った気がする瞬間を味わうことが増えた気がするのです
もちろん あとから振り返ると「あの頃の俺 勘違いしてたな」みたいなことの連続の人生なので さかのぼってほおを赤らめる可能性大ですし 両手を上げてよろこぶほど素直なマインドではありませんが 今回の作業では
「あんなにいろいろ苦しんでたけど こうすればよかったのかー」
みたいなことも多かったし「できるわけなかったんだ これを持ってなかったもの」みたいなこともありました

サディスティックに楽譜を書いて開国させたひと

演奏をひとに頼まなかったのは いまだに楽譜が読めず書けず コードもよくわからずここまできてしまったので ひとに頼むとき
「コードください」
と言われると
「じゃあいいです」
ってなってしまって終わる というのを繰り返していたからです
それをこの頃は ライブでも鍵盤を担当してくれる塚本恵さん
「楽譜作るので曲のデータ下さい!はやく!」
とサディスティックに言い放って下さるので 俺は
「ひいっ!!」
と言いながら従えば楽譜が送られてくるのです
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こうなればひとに頼みたいとき
「お願いできますか?ええ!もちろん譜面ならありますが?!」
と 萎縮せずに済むようになり 今回はいろんなひとに頼みました
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そんなわけで 少し前置きをしたら1曲ずつ解説していくつもりでしたが 全然一曲目に入る気配もないまま 1600文字にも達する勢いで 第一回目を終わりたいと思います

『山作用』の『市』曲目『煩悩スルメ』はもともと他のバンドのために作った曲でした

山作戰による作品集『山作用』解説 目次
序 (山作戰の録音 予備知識の回)
一曲目 煩悩スルメ
二曲目 あいたかやま 前編
二曲目 あいたかやま 後編
三曲目 さようなら 前編
三曲目 さようなら 後編

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