いろいろ心配になりながらも好き勝手説明をしている企画
でもSNSに書くのと違ってここへきて読んでる方はご自身の意思で来てくれてるはず!?
などと自分をはげましながら…(ト書き)
>『あいたかやま』のこと前篇>の続きです
まずは頼まれもせずこれまで山作戰の音源で使われてたピアノの音 遍歴
ここで誰も頼んでない説明をひとつ
三作目「山作為」シングル「明けない夜」の録音を終えるまで 我が髙山堂録音室には使えるピアノ音源が 無料配布されているPiano Oneというソフト音源(パソコンで動く仮想音源)とライブで使っているKORGのSV-1という丸っこくて重たい電子ピアノしかない状況でした
二つ目の作品集「山作業」のピアノはみんな東京から持ってきたエレキグランドピアノ「YAMAHA CP-70B」
オークションで買って千葉までレンタカーで取りに行きました
70年台に分解して運べるグランドピアノという売りだったようなんですが二つのケースに別れても上部68㎏ 下部62㎏と死ねる重さ 社長と私のどちらかがあきらめたら少なくとも一人 多くて二人本当に死ぬ という方式で 当時のエレベーターのない上大崎髙山堂の二階の部屋へ運びました
なにせ電子ピアノなのに弦が貼ってあるしハンマーもあるおもしろいやつでKeaneの特徴的なピアノの音はまさにこれ
小林武史とかKANさんとかが弾いていたのはこれの鍵盤がさらに多いバージョンだったみたいです
その本格作りのせいで調律をせずに置いておいたら微妙に音の高さがずれてきてしまい音源に使うのはきびしいと判断
「山作為」と「山作柄」は無料のソフト音源PianoOneが活躍したのです
「明けない夜」のときは塚本先生に髙山堂へお越しいただいてライブでも使っているKORGのSV-1を弾いてもらいましたが 今回は
あらたな方式でピアノパートを作れれば家に来てもらわずにすむ!たくさん弾いてもらえる?
新たな方法に挑戦!
塚本先生がご自宅で楽譜を作るのに使ってるソフトがわたしの録音に使ってるソフトと同じCubaseだと判明
「じゃあ塚本さんのおうちの鍵盤で弾いて打ち込んだMIDIデータ(音を出す命令の情報を記録して再現するための規格に基づいたデータ)をメールなどで送ってもらい そのデータをうちのソフトに流し込んでピアノ音源で鳴らしたら素敵じゃないか!
ご自宅から1時間くらいの道のりをわざわざご足労いただかなくて済むし 先生が録音している間 他の作業をできる!塚本先生にあえないのは寂しいけど いまはなにより時間が大切っ!!」
などと独りで言いながら仮で打ち込んだデータをお渡しし それを先生が楽譜にして弾き直したデータを返してもらいました
意気揚々と流し込んでNative Instrumentsという会社のTHE GRANDEURというピアノ音源を使って鳴らすも…
ん?
奇妙!ずれまくるピアノ… 名案敗れたり?
なんか変…
一部の音があるべき位置より前後にずれていたり サスティンペダル(足で踏んで音の響きを伸ばすやつ)のタイミングも変で音が切れ切れだ
やっぱりきてもらうしかないのか…
と諦めかけた瞬間
こういうソフトには演奏を安定して聴かせるために「クオンタイズ」という機能が付いているんですが 入力し終わったあとでそろえる仕組みと入力と同時にどんどんそろえてしまう仕組みがあって 塚本先生のソフトはなぜか後者のほうが大雑把な設定で勝手に働いてしまっていたのでした
やったーー解決!!
俺が演奏者のことをまったく考えずアレンジ的に必要と思ったところだけ必要な音だけを入れたピアノを
「むずかしいんですけど…」と言いながら弾いてくれたピアノトラックがみなさんが音源で聴いているあの音です
この問題が解決したおかげで『山作用』では2曲目あいたかやま 3曲目さようなら 8曲目黎明のピアノを弾いてもらうことができました
めでたしめでたし
井柳ヴァイオリン
井柳さんは「明けない夜」のシングルで一度ご協力いただき 1日目に録った音をあとで全部録り直すという苦しい選択や長い作業時間をともにした仲です
前の作業で彼女が録音しやすいモニター(演奏中にヘッドフォンで聴いて基準にする音)のバランスを発見
井柳ヴァイオリン録音の四箇条
- ドラムの音は消すか小さく
- エレキギターは消す
- ピアノは大きく(できれば塚本先生の演奏がよし)
- ヴァイオリンの音は大きく
ピアノができれば塚本先生の演奏がよい理由は二人が大学からの仲良しで聴き慣れているからだと思われます
これを守りながらもリズム大事な曲なのでドラムは聴こえるようにさせてもらいつつ録音開始
6月とはいえ我がスタジオにエアコンがないことをご存知だった井柳姫は大きくスリットが入った涼し気なお召し物でおいでになりまして 女性が関わるって素敵だなと思いました当日は大雨で録音の途中で晴れましたが 日本家屋の 呼吸する作り(旧くなって立て付けが悪い)が楽器の鳴りを少し抑えてしまった気がして
「これからは一人の作業ばかりではないしよく来てくれるギタリストは暑いと肉汁を垂らすし 蝉の時期に録音しない方針のままいくわけにもいかない 改善が必要かも」
などと今後の改善を誓う場面でもありましたが そんな中でもサビから先の展開に色気とキレを加えてくれるフレーズを弾いてくれました
井柳さんが弾いてくれたのはヴァイオリンパートの2パート
同じメロディーを1オクターブ違いで弾いてくれたものに デモの段階で入れてあった音源のヴァイオリン ビオラ チェロのパートを重ねてソフトのヴァイオリンの音はほとんど聴こえないくらいのバランスにした
生で録ってもらったパートだけでも鳥肌が立つくらいの興奮があったのでそれに機械の音を足すのも気が引けましたが えいやっと混ぜたら生々しさとさらにちょうどいいゴージャス感が望み通りになったので贅沢をさせてもらいました(笑)
最後にこの曲 実はサビのにメロディに合わせてコーラスパートも録ったんですが そのパート 相当聞こえにくいみたいなんです
ちーとばかし下げ過ぎたかなー(笑)
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冗談はさておき うたっている個のメッセージ という印象にしたかったのでこれで!
(録音でコーラスが大きく聴こえると「個人感」が減ると思ってますが 個人の見解です)
「ないとさびしいけど気にはならない」 みたいな音の使い方も今回からはじめてみたのでした
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