ヤマサクマイニチ31 2020年1月25日(土)辻義理とはめずらしいおじさんが路上で吠えること つい路上でうたってしまう訳ではないのだ

ずっと「辻義理(つじぎり)」と呼んでいる路上ライブ 今日やる予定だ
静岡駅から北口地下道へ降りて進むと左手が広くなっているあたり
市が選んだパフォーマーになっていて その時間もうひとりパフォーマンスをするひとがいるそうなので時間が確定できないけれど 16時から1時間を予定している

その辻義理 始めたのはいつだろうと調べたら2010年のmixiの書き込みで「辻義理はお休みです」と書かれてるのでそれより前のようだ
写真は2010年5月4日の辻義理
路上歴10年以上
路上ライブを初めてやったときのことを覚えてる 第一声を出すまでずっともじもじしていた
いざ歌っても恥ずかしくてしかたなく ひとこともしゃべらないでうたい続けて 3曲くらいで止めて帰ったと思う

新宿駅の西口で毎週土曜日の夕方定期的に辻義理と名づけてうたうようになり 何度も何度も警察の方のお世話になった
もうやりません的なことが書いてある汚い紙に名前を書くだけなんだけれど もうその日は演奏できない
通報するのが趣味のひとも存在して うたうまえに捕まるようなこともあった
「残念でしたね」なんて話しかけてくるそのひとが通報してるというケースもあったりと なかなか香ばしい日々だった
警察のひとにも理解があるひとや頭ごなしなひと 反応がそれぞれにあって面白かった 面白がってる場合ではないんだけれどね
一曲待ってくれて終わったら止めてくれるひともいらしてむしろすごいなあと思った
警察のひとは通報されると通報された対象を見つけてやめさせたという記録を残さなければ叱られるみたい お互い大変だ

東北の震災のあとは街が色んな意味で暗くてうたっていても気が滅入った
ネオンや看板の明かりも消え 自粛ムードが街を覆っている中でうたっても人通りがなくて聴いてくれるのは山作員(山作戰の旧くからのファン)だけだったと記憶している

静岡に移り住んで 1度目の『ヤマサク春のセンまつり』という1,000人規模のコンサートをやろうと動き出す頃路上ライブを始めた

爆音で演奏してるアンデス音楽のひとにもうちょっと小さくしてくれと伝えたら 殴るぞ と言われたこともあった
おお俺は久しぶりにひとに殴られてしまうのかと少しワクワクしたけれど 相手は南米系のボクサーのようなすごく強そうな体型をしていたので顎関節症が心配だった
結局うやむやになって終わった 音量もさげてもらえなかった 路上は野生の王国やで!とるかとられるかやで!

立ち止まってくれたひとにあとではなしを聴いて「『おっさんが本気でうたってる』と驚いた」とおっしゃることが何度もあった
「おっさんは必死でうたいませんか?」と聴くと「いえ 若者しかうたってるところは見ません 若者はゆったりうたってます」みたいな答えが返ってくる
見かけないおっさんが 若者でもやらない 必死の歌唱で吠えているところが違和感だったみたい いいことですね

静岡で路上ライブをしてると「うたわせてあげますよあんな道端でうたわなくても」とおっしゃる方々がいらしてイベントに誘ってくれることがある
道端って ジェシカか! アンジェリカか! とツッコみつつ(心のなかで)多分その時点で「道端でもうたってしまうくらいうたいたがってるひと」という認識になっていて それが「うたわせてあげる」という言い方や態度に出るんだろう もちろん出演料はなし ときには出演者がお金を払ってというものもある

そこで思う 俺ははたして うたいたいんだろうか と
普段鼻歌すらうたわないので(鼻歌をうたってるとすればそれはうたを作ってるとき)うたいたいと思うことは残念ながらほとんどない
だから別に道端でついついうたいだしてしまうひとではないはずなのだ
ぼくらはみんな生きているけれど 生きているからうたうわけでもないのだ

うたいたいときがあるとすれば 応援してくれているファンのひとと これから出あうはずの聴き手のひととであえる気がするとき
聴いてもらうため 出あうためにためにうたう
今日はそんな日だ うたいたいたいたいたい

そうやって精一杯うたう1時間をおたのしみに
久しぶりの 辻義理 であいましょう

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